腹筋と体幹
体幹というものがどこの部分を示すかは、狭い意味、広い意味などで様々あります。
手足を除いた胴体部分を示したり、肩甲骨・骨盤を指したり、体の奥にある筋肉を指す場合もあります。
ただ、そのいずれの意味であっても腹筋は体幹に関わっています。つまり体幹トレーニングに腹筋は外せない要素なのです。
なぜ体幹トレーニングか
なぜ体幹トレーニングが重要視されているのかというと、
体幹トレーニングによって、体幹の安定性が増し、手足をより素早く、より正確に動かせるということが期待できるからです。
動作能力が向上するため、体幹トレーニングは重要とされています。
腹筋のローカルマッスルとグローバルマッスル
筋肉は表層の筋肉をグローバルマッスル、深層の筋肉をローカルマッスルとして分けられたりします。このローカルマッスルのことを体幹と言ったりもしますが、腹筋においては、ローカルマッスルは腹横筋、グローバルマッスルはそれ以外の腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋を差す場合が多いです。
ローカルマッスルである腹横筋は腰のくびれづくりや腰痛対策にも重要とされていますが、機能面からみても、いろいろな動作を行う際、先立って活動するという重要な役割を担っています。(腰痛患者ではこの腹横筋が先に活動せず、手足の動きに、遅れて腹横筋が活動してくるという報告もあります。)
この腹横筋の活動を増やし、手足への動きをスムーズにし、パフォーマンスアップを促せるよう、効果的な体幹トレーニングで腹横筋をいかに活動させられるかが鍵になってきます (腰痛を抱えたアスリートには特に) 。
つまり、運動によって、ローカルマッスルである腹横筋だけでなく、内腹斜筋などのグローバルマッスルが活動してしまうと、ローカルマッスルを刺激するための体幹トレーニングとしては十分ではないと言えるかもしれません。(ここではあくまで、ローカルマッスルのトレーニングについて言及しています。もちろんグローバルマッスルを含めた体幹トレーニングもあります。)
ローカルマッスルをいかに刺激できるかを検討した研究では、
バランスボールなどで(研究ではレッドコードも用いられていました。)不安定な状況を作り出し、その運動パターンを変えた際の腹横筋の活動について検討されていました。
写真のように脚だけを不安定にさせた状態でのトレーニングでは、腹横筋の活動の他、グローバルマッスルである内腹斜筋の活動量も増えていました。
しかし、
腕も脚も不安定な状態、つまり、空中姿勢を保ち運動する状態では腹横筋の活動が増し、内腹斜筋の活動は減少したそうです。
ローカルマッスルである腹横筋が有効に働く、効果的な体幹トレーニングという観点からは、このようなトレーニングは画期的な体幹筋トレーニング方法でしょう。
参考文献:効果的な体幹筋トレーニング方法の検討
-異なる運動における腹横筋と内腹斜筋の収縮厚から-
宮下 智, 和田 良広, 鈴木 正則