今回は腹横筋(ふくおうきん)についてみていきたいと思います。
腹横筋はtransversus(横切る)abdominis(腹部)といいます。transversusは「横切る」を意味します。
「腹筋」はたくさんの筋肉によって形成され、その奥に腹横筋はあります。
腹横筋はお腹の一番奥に位置しています。お腹の輪切り図。内腹斜筋の下に腹横筋があります。
腹横筋といえば、腹圧(ふくあつ)!
腹圧(ふくあつ)とは
お腹は腹腔(ふくくう)といって空洞となっており、腹筋と横隔膜の収縮によって、そこに圧をかけることが可能です。この腹腔内の圧力を腹圧(ふくあつ)といいます。
腹圧は、排便や排尿を助けるほか、女性では出産のとき子宮の収縮とともに分娩(ぶんべん)の原動力となります。
出産の際、腹筋は、横隔膜、骨盤底筋群の活動とともに、これらの筋肉によって囲まれた空間(腹腔)の内圧を高めます。それによって胎児は母体外に押し出されていきます。子宮の収縮力のほかに、母親がいきむことによって腹圧を加える必要があるのです。
腹横筋について
腹横筋は、その他のお腹の筋肉(外腹斜筋がいふくしゃきん、内腹斜筋ないふくしゃきん)とともに内臓器を圧迫してこの腹圧を高めます。
腹圧を高めることにより、排尿、排便、おう吐、くしゃみ、咳などの日常の生活動作から分娩まで、さまざまな動作補助するのは既述した通りです。
トレーニング時やスポーツ時だけではありません。
極端な話、立っているだけ、座っているだけでも腹圧は関わり、腹横筋は関わっています。
ですので、普段から姿勢や動作を意識していることが「腹筋」を刺激することにもつながるのです。
また、この腹横筋は脊柱の運動、つまり、背中の曲げたり伸ばしたりなどのような動作には関与していません。
腹筋運動といえば、腹筋を縮めて背中を曲げていくシットアップをイメージしやすいですが、
この動作自体にも腹横筋は関与しないのです。(※間接的に関わっていますが。)
ただこの動作に関与させる方法があります。それが呼吸です。
腹筋運動を呼吸と連動させることにより、
腹圧を調整しながら、腹横筋を働かせながら、動作を行うことができます。
呼吸に合わせるのも大事なのですが、さらに、腹横筋をきちんと活動させた上での、腹筋のトレーニングは、それ自体の活動量を高めます。
腹横筋を活動させた状態でシットアップやクランチといった腹筋運動をするのと、腹横筋を活動させないで腹筋運動をするのとでは、前者の方が腹筋の活動量が高くなるという研究報告があったりもします。
これからの腹筋運動としては「さあ、腹横筋を活動させて、では腹筋開始!1、2、3…」というのが主流になるのではということも言われています。
腹横筋の筋トレは腹圧を高めるトレーニング!腹横筋ダイレクトアプローチ!
腹横筋に重点を置いたトレーニングについては、腹圧を高めるなどの調整により腹横筋は働くという機能を利用します。
横隔膜!呼吸が関わるそれはフッキン!にも書きましたが、腹圧は呼吸と密接に関わっています。
腹筋は息を吐くときに働きます。なかでも
腹横筋はその主力となる筋肉です。ですので、
呼吸、特に息を吐くに合わせて、
お腹を凹ませる運動、または、へこまし続け、そこを維持する運動を基本に行い、
腹圧をかなりかけられるようになってきたら、
お腹をふくらませる運動、または、ふくらまし続け、そこを維持する運動(これも吐くときに合わせて)を行っていきます。
以下エクササイズ動画です。
最初はあお向けで手をお腹の上において、お腹が動くのを感じながら行うといいでしょう。
重りをお腹の上においてそれを押し返すように行うと負荷を加えることもできます。
慣れてきたら立ったままでも行えるので、日常生活でも行うことができます。
トレーニング内容によっては、立った姿勢での腹横筋トレーニングの方が、寝た状態での腹横筋トレーニングよりも、効果が高いという研究結果もあることから、日常生活の、例えば、信号待ちの時になど、ふとしたときに取り入れてもいいですね。
このように呼吸と連動させて、長時間お腹をへこまし続けたり、長時間お腹をふくらませ続けるのは「腹筋」のトレーニングになるのです。
実は、それがウエストサイズダウンのコツであったりもするのです。
腹横筋は、その形状から俗にコルセット筋とも呼ばれ、コルセットを締めれば締めるほど、お腹が絞まるように、腹横筋のトレーニングによって自前のコルセットを作り上げることで腰のクビレづくりに役に立つのです。