腹筋と尿失禁?
一見、関係なさそうにみえますが、実はバッチリ関わっています。
腹筋と尿失禁が関わっているということで、実は、
尿失禁について
腹筋やトレーニングに触れる前に、
尿失禁は直接命に関わる病気ではありませんが、
職業、家事、子育て、
男性の尿に関わる問題のほとんどが前立腺に関係しているのに対し
尿失禁の患者数
ー尿失禁などのトラブルで困っている女性は多いー
日本では成人女性の3人に1人、数にして、400~
尿失禁というと、
尿失禁は若い女性にも、男性にもみられる症状なのです。
尿失禁の定義
国際禁制学会では、尿失禁とは、客観的に認められる、
尿失禁にはいろいろなタイプがある
尿失禁は原因や漏れ方によって、大きく次の4つに分けられます。
①腹圧性尿失禁…おなかに力が入ったはずみで、もれてしまう。
②切迫性尿失禁…トイレにいきたいと思ったら、
③溢流性(いつりゅうせい)尿失禁…尿があふれて絶えず、
④機能性尿失禁…体が不自由、認知症があったりして漏らしてしまう。
このうち腹圧性尿失禁はもっとも多くみられるものだそうです。
今回はこの、
咳やくしゃみで、もれてしまう腹圧性失禁
腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)は英語では stress urinary incontinence といわれたりします。
腹圧を英語でいうと、abdominal pressureですので、abdominal pressure – induced incontinenceとあらわされたりもします。
そのほか
stress incontinence
urinary stress incontinence
というのが英語の訳になります。
腹圧性尿失禁の場合、起こりやすいのは、
スポーツをしたとき、
はじめは、くしゃみをしたときにわずかにもれる程度でも、
それに伴って、漏れる頻度も増していきます。
腹圧性尿失禁になりやすい人の特徴
腹圧性尿失禁になりやすい人の特徴は以下の通りです。
・太っている人
・筋力がない人
・40歳以上の人
・2回以上出産経験のある人
・便秘ぎみの人
腹圧性失禁は女性にもっともよく見られるもので、
特に、40歳以上の方、
また、近年、出産経験のない若年女性においても 24%の割合で腹圧性尿失禁がみられることが報告されています。
妊娠中は、胎児によって、膀胱や骨盤底が圧迫されるため、
この場合、出産してしまえば、元に戻るようなので、
出産直後の尿失禁について
出産直後の尿失禁は、
腹圧性尿失禁は、軽度の方であれば、
先に出てきた、切迫性尿失禁に関しても、
病気がない場合は薬を使った治療(薬物療法)
薬物療法
まずは、薬物療法について。
薬は尿失禁の回数や量を減らす目的で使われます。
薬によって、治療の鍵となる骨盤底筋は鍛えられません。
あくまでも薬は対症療法とのことです。
根本的に治すわけではないので、
骨盤底筋体操を行いながら、補助的に使用されるのが通常です。
腹圧性尿失禁に対する薬としてもっとも使用されているスピロペン ト
腹圧性尿失禁に対する薬物療法でもっとも使用されているのがスピ
スピロペントは日本では腹圧性尿失禁の治療薬として唯一認められ
スピロペントは、もともと、気管支喘息(きかんしぜんそく)
副作用について
スピロペントの副作用として手や指が震える、気分がわるくなる、
腹圧性尿失禁では、長期にわたって、
骨盤底筋体操の効果があらわれるまでのあいだ、
手術療法
手術療法が有効なのは腹圧性尿失禁だけです。
既述した4つの尿失禁のうち、腹圧性尿失禁であれば手術で治すことができます。
手術を行うかどうかは、重度の方は手術、
かつては、
手術法はいろいろありますが、目的は同じで、
腹圧性尿失禁の手術について
TVT(Tension -free Vaginal Tape)手術
TVT手術は、膣壁を小さく切開して、
そのテープの周囲にコラーゲンや結合組織が付着して、
腹圧がかかったときには、尿道が開かないようにテープが支えて、
このテープは心臓外科手術に用いるポリプロピレンという糸を使っ
局所麻酔だけで行うことができ、所要時間は30分。開腹不要で、
手術の成功率は90%前後で、再発率も少なく、
日本では1999年から行われるようになり、
現在主流となっている手術法の一つです。
TOT(Trans-obturator Tape)手術
TOT手術は、TVT手術をさらに安全に改良したものです。
TVT手術と同じく、テープで尿道の後ろ側を支えますが、
テープの通り道に太い血管や重要な臓器がないため、
欧米ではこのTOT手術が主流となっており、
日本でも2012年9月から健康保険適用になったとのことで、
その他の手術療法について
その他にも、腹圧性尿失禁に対する手術療法はありますが、TVT手術やTOT手術に比べると、体の負担が大きく、
術後について
TVT手術もTOT手術も数日で退院できますが、
また、手術によって、尿失禁が治っても、
続いては、
骨盤底とは
骨盤底は、骨盤の底にあたる部分のこと。骨盤の中の、
この骨盤底を構成している筋肉や靭帯や、筋膜をまとめて「
骨盤底筋群には自分の意思で動かせるものがあり、
骨盤底はこのように尿失禁を防ぐ手助けともなるのです。
今まで見てきた通り、
骨盤底がゆるんでたわんでしまうと、
このため、腹圧がかかったとき、
骨盤底が多少ゆるんでいても尿道括約筋のしまりがよければ、
骨盤底がゆるむ原因としては、妊娠、出産、
妊娠中は骨盤底に大きな負担がかかります。
しかも、出産時には、骨盤底は引き伸ばされ、
産後に、尿失禁が起こりやすいのはこのためです。
更年期や閉経期前後になると、女性ホルモンの分泌が低下します。
肥満については、見落とされがちなのですが、
骨盤底筋体操
骨盤底筋体操は、
腹圧性尿失禁ではもっとも基本的な治療法となります。
一般的に、効果があらわれるまで、2~3ヶ月かかります。
比較的症状が軽い場合は、
症状が軽いというのは具体的に パッドテストで漏れる量が10グラム未満のことをいうそうで、
重症の方でもある程度の効果があるそうなので、
体操で、改善が見られない場合は、薬物療法を並行して行います。
先に書きましたが、薬は尿失禁の症状をやわらげるだけで、
それでも改善が見られない方、重症の方、
骨盤底筋体操のポイントとやり方
骨盤底筋体操では、
ただし、骨盤臓器脱が進行して、
骨盤臓器脱が疑われる場合は、受診して体操で改善できるか、
骨盤底筋体操は、お腹を動かさずに、
骨盤底を思い通りに動かせているかどうかですが、
感覚がつかめない方は、トイレで排尿しているときに、
その感覚を覚えてしまいましょう。
具体的な骨盤底筋体操のやり方
骨盤底筋体操を2~3ヵ月続けると、
しかもやり方を覚えた方は、長期にわたって、
1日20分程度の体操になります。
骨盤底筋体操の基本は、リラックスして、骨盤底を10秒ぐらいぎゅーっと締めて、
次にスピードを速めて、きゅっと締めてぱっとゆるめます。
これら2つの体操を1セットとして1日2~3セット行います。
お腹に手をあてて、
骨盤底以外の筋肉を使わないようにするのがコツです。
コツがわかってきたら、
ちなみに、骨盤底筋の筋肉を活動させやすい姿勢は、研究の結果から、横向きと仰向けであるという報告がみられています。
くしゃみが出そうなときや重いものを持つときなど、
いざというときにいつでも締められるように訓練することが大事で
いよいよ腹圧性尿失禁と腹筋のお話!
このように、腹圧性尿失禁の発生には、
一方で、近年ではお腹の奥に位置する、
そう、骨盤底筋体操と並んで、腹横筋のトレーニングが腹圧性尿失禁の治療法となるのです。
腹横筋のトレーニングと骨盤底筋体操のどちらを実施したほうが尿
研究では、
この研究結果は腹圧性尿失禁を予防・
では腹横筋のトレーニングと、
腹横筋と骨盤底筋は、
腹横筋と骨盤底筋の同時収縮を調べた研究では、
運動を連鎖させるという観点から腹横筋を収縮することで骨盤底筋を収縮しやすくなるとのことです。
腹横筋、骨盤底筋は横隔膜、
また、研究では、腹横筋の厚さ、骨盤底筋の筋活動との相関性が確認されていました。
腹横筋の厚さで間接的に骨盤底筋も評価することができるのです。
以上のことにより、腹筋(腹横筋)は骨盤底筋と関係があり、
腹圧との関係について
腹横筋の機能の1つに腹圧を高めることがありますが、腹圧の上昇に対して、インナーユニットがうまく機能、連動せず、
以上のことから、腹圧性尿失禁に対する運動療法の一つとして単一筋の筋力強化のみ
妊娠によるスウェイバック姿勢
骨盤底筋の弱化の要因として妊娠が要因の一つだということは既述した通りですが、女性は妊娠によって様々な身体的な変化を生じます。
妊婦は腹部が前方へ突出するに従って、腰を反りすぎたような、sway-
このスウェイバック姿勢による骨盤帯機能を破綻させないために、
腹横筋には、姿勢保持作用と、腹圧調整作用があり、
このように、腹横筋のトレーニングは腹圧性尿失禁に対して、
今回のテーマは腹圧性尿失禁についてでした。
一見、関係なさそうにみえた腹筋と尿失禁、バッチリ関わっていました。
腹圧性尿失禁には骨盤底筋体操を、といわれますが、それとおなじくらい、腹筋の一つである腹横筋のトレーニングも大事なのです。
ぜひ、本サイトにもある腹横筋トレーニングも参考にしてみてくださいね。
参考文献:
トップ専門医の「家庭の医学」シリーズ スーパー図解 女性の頻尿・尿失禁 QOL(生活の質 )向上のための最善策 高橋悟
若年女性における腹圧性尿失禁を予防・改善するためのトレーニング法の検討─骨盤底筋トレーニングと腹横筋トレーニングのどちらが有効か?─
松原 彩香 1) ,池添 冬芽 2)
1)京都大学医学部人間健康科学科,2)京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻表面筋電図からみた姿勢の違いによる骨盤底筋と腹直筋の活動に関する研究
小林 たつ子,仙波 美幸,谷口 孝英,中橋淳子,小林 美雪,望月 綾子,五味 千帆,田中 喜久美,小林 晴名,坂本 雅子,井口 久美子,石井 八恵子腹横筋エクササイズ継続による身体機能変化
布施 陽子 , 福井 勉
文京学院大学 保健医療技術学部理学療法学科腹横筋と肛門挙筋との運動連鎖について田尻品品1)雷明2)秋山純和2)丸山仁司2)1)国際医療福祉大学看護学科 2)国際医療福祉大学理学療法学科