腹筋のトレーニングについて
腹筋のトレーニング種目は腹直筋上部、下部、脇腹上部、下部、腹横筋といったかたちで、部位だけでも五つに分けられ、その五つの部位一つ一つの中でも強度の高い、低いなど、さまざまなトレーニング種目を体力レベルなどに応じて選ぶことができます。
腹筋は転倒予防など日常の生活活動から、パフォーマンスアップなど競技能力向上まで、さまざまなシーンで重要な役割を担っています。また、毎年、引き締めたい体の部位で上位を占める人気部位でもあり、機能的にも、形態的にも鍛えておきたい部分です。そして、種目数が無数にあるため、種目を選んでいけば、老若男女どなたでも鍛えられる部分でもあります。
今回は無数ある腹筋種目の中から、腹直筋のトレーニング種目についてみていきたいと思います。
腹直筋のトレーニングについて
腹直筋という筋肉は、腹筋といえばまず最初に思い浮かべる部位という方が多いかもしれません。お腹の表面にある、いわゆる6パックといわれる部位になります。この部位は極、簡単にいえば、肋骨から骨盤にくっついています。
トレーニングの際は筋肉の付き方を意識し、動かしていくことがとても大事です(トレーニングの原則のうちの一つ、意識性の原則にあたります)。腹直筋を動かしていく時は骨盤と肋骨を近づけるように行います(写真1)。これに沿っていくと腹直筋の代表種目、シットアップなどによくみられる、上体を骨盤の傾きが変わるくらいまで起こしすぎる腹筋運動の姿勢は、股関節での動作となり、やり過ぎというのがみてとれます(写真2)
(写真1)
(写真2)
そういった動きの誤解が起きないように、腹直筋のトレーニングをする際は、ぜひ筋肉のつきかた、動きかたを意識してみてください。
腹直筋の上部、下部に効果的なトレーニング
腹直筋は上腹部や下腹部に分けてトレーニングするといいといわれています。
何種目かの腹直筋のトレーニングで腹直筋上部、腹直筋下部の活動量を比べた研究において、上腹部、下腹部のどちらも高い活動量を示した種目がありました。
その種目とはローマンベンチシットアップとサポートレッグレイズの2種目です。
ローマンベンチシットアップ
サポートレッグレイズ
この2種目を行う際は腰に不安のある方や腹筋運動にまだ慣れていないというかたは無理をせずに取り組むようにしてください。研究では、腹直筋上部、腹直筋下部どちらにも高い活動量がみられましたが、大腿直筋という太ももの筋肉も高く活動していました。太ももの筋肉と腰は関連があるため、腰への影響を考えながら取り組みましょう。それこそ、冒頭に申し上げたように、腹筋運動の種目はたくさんありますので自分に合うものを選んで取り組むといいでしょう。この2種目も参考までに、よさそうならぜひ取り入れてみてください。
詳しくは動画でポイントを含めて解説しています。
腹部トレーニング 7 種目における腹直筋上部、腹直筋下部、外腹斜筋および大腿直筋の筋電図学的研究
半田徹、加藤浩人、長谷川伸、岡田純一、加藤清忠