腰痛は一般成人からアスリート、スポーツ選手まで幅広く生じており、生涯における罹患率は 80%を越えるといわれます。また腰痛が原因で就業困難や欠勤になることも多く、それにより経済的損失をもたらすといっても言い過ぎではありません。
腰痛症で受診した6割が3ヶ月以内に症状が改善しても、残りの4割は慢性腰痛に移行したという報告があります。また、その慢性腰痛者の15%は再発などにより 1 年以上も痛みが続いたといいます。
腰痛の分類
腰痛は、発症から 4 週間未満を急性腰痛、4 週間以上 3 カ月未満を亜急性腰痛、3カ月以上を慢性腰痛として分類されています。
腰痛の原因
腰痛の原因は脊椎から、神経から、内臓から、血管から、 メンタルから、の5つに大別されています。ただ、原因不明の非特異的なものが腰痛の8割〜9割を占めているといわれます。
急性期から亜急性期腰痛に対する治療は、薬物療法 、運動療法、手術療法、 安静があり
、慢性腰痛では、運動療法、認知行動療法、薬物療法 、手術療法があります。
腹筋コラムで腰痛に関して書いているのは、主に運動療法のうちの腹筋からのアプローチになります。
なかでも奥の腹筋である腹横筋エクササイズとして代表的なドローインは腰痛対策に効果的であるといわれています。
上手なドローイン時は腹横筋の厚みの増加と外腹斜筋、内腹斜筋の厚みの減少がみられます。
ドローインがしっかりできているかどうかは上前腸骨棘という腰骨から指2本分ほど内側を触診しながら行うといいです。
このように、再発予防や早期の機能回復の観点からも腹横筋の機能向上などの運動療法の重要性は大きいかと思います。
腹横筋と腰痛の関わり、そして、呼吸機能との関わりをみた研究があります。そこではそれぞれの活動がそれぞれで関係し合っていることが報告されています。
呼吸の機能が低下すると、横隔膜や腹横筋、骨盤底筋の活動の低下につながり、それにより腰痛のリスクも上がります。
腹横筋の機能が高いと呼吸機能も高く、また、腹横筋の機能が高いと腰痛のスコアは低くなります。
こういった面から腰痛対策からみた腹横筋のエクササイズは呼吸機能アップも目的として含むといいかと思います。
ドローインエクササイズと、腰椎安定化エクササイズさらにこれに呼吸の抵抗をかけた場合とかけていない場合を調べた研究があります。
呼吸に抵抗をかけた場合、腰痛に効果的なドローインエクササイズや腰椎の安定化エクササイズを、さらに効果的ものにしていました。
腰痛に対してのトレーニングを組み立てる場合はこれらのことを踏まえていくといいかと思います。
Proprioceptive StabilizerTM training of the
abdominal wall muscles in healthy subjects:
a quasi-experimental study腰痛と腹横筋機能、呼吸器機能のそれぞれの関係性について
奥田 裕、小澤 佑介Comparison of Effects of Abdominal Draw-In
Lumbar Stabilization Exercises with and without
Respiratory Resistance on Women with Low
Back Pain: A Randomized Controlled Trial