仰向けでのドローインと姿勢について

仰向けでのドローインと姿勢について

腹横筋

腹横筋は他の「腹筋」とは独立して先に活動を起こすという特徴があります。下腹部引き込み動作(ドローイン)はそんな腹横筋の活動を高めることができ、さらに腹横筋の活動を高めた状態、つまりドローインをした状態で腹筋をすると内腹斜筋や腹直筋の活動がより高まるため「腹筋」トレーニングにオススメであることは他の腹筋コラム(ドローインの効果について)で述べました。

腹直筋下部などの腹筋トレーニングでは、下腹部引き込み動作をしたときとそうではないときとでは腹筋の活動量に差が出ることからドローインを組み合わせることはとても大事です(外腹斜筋に関してはこの限りではありません)。

そんなドローインですが、ドローイン時に活動する腹横筋自体の活動量に姿勢の違いによって差が出るのか、例えば脚の角度45度か60度でのドローインでは腹横筋の活動量に違いが出るのかといったような、トレーニング動作と腹横筋の活動量の関係についてみていきたいと思います。

これを知っていると、トレーニングの幅もさらに拡がることでしょう。

脚の位置をそれぞれ変えた際の「腹筋」奥の腹横筋の厚みを計測した研究によると、安静時以外の脚の位置それぞれの条件での比較では腹横筋の活動量に差はみられなかったとのことです。つまり、どの位置※でも下腹部引き込み動作時(ドローイン)の腹横筋の活動に違いはみられなかったのです。

※両脚膝角度45度と60度、片脚膝股関節角度90度、脚を伸ばした状態で左脚を床から10cm浮かせた状態という、4つの状況の中での比較において

基本的に仰向けの姿勢時においてですが、腹横筋を刺激することを目的としたエクササイズではあえて難しい種目を行う必要はなく、より集中してアプローチできる種目を選んだ方がいいといえるでしょう。

ドローインに関して書いてきましたが、僕自身、いろいろ確認ができてよかったです。はじめて、ドローインという言葉を知った十数年も前、正直???だったことを今でも覚えてます。スポーツクラブのプログラムなどでよくみられながら、なぜこれを行うのか詳しくは解説されておらず、何をするにもこれをやればバッチリというような一種の流行りのようなシーンもみられてドローインということばを使うのを敬遠さえしていました。「腹筋」の大切さを知り、位置だけではない腹横筋の、奥の深さを知り、ドローインという下腹部引き込み動作も以前よりは理解できてきました。それと同時に「腹筋」に対する愛着もますます湧いてきた気がします。まだまだドローインについても、腹横筋についても書きたいことはたくさんありますが今回はこの辺で。お読みくださりありがとうございました。

506 日本臨床スポーツ医学会誌:Vol. 22 No. 3, 2014.
原 著 下腹部引き込み動作時の下肢の
位置による腹部深層筋の筋厚
Abdominal muscle thickness during abdominal hollowing
in various supine positions
永井秀幸,赤坂清和,乙戸崇寛
澤田 豊,大久保雄,陶山哲夫