前鋸筋の作用を利用した腹筋の鍛え方!

前鋸筋の作用を利用した腹筋の鍛え方!

筋肉には結合組織を介して筋肉同士が連結し、さらに筋肉の線維の走っている方向が一致しているものがあります。こうした特徴をいかしたトレーニング、エクササイズもあったりします。実は「腹筋」にもそのことがいえる部位があるのです。

腹筋群

代表的なものが前鋸筋と外腹斜筋です。
他の腹筋コラムでも書きましたが、「腹筋」のうち、外腹斜筋と前鋸筋は関連が強く、外腹斜筋は肋骨の外側から腹直筋に向かってV字に走り、前鋸筋は肩甲骨に向かって走っています(上9つの肋骨の上縁というところからこの筋肉は始まり、肩甲骨の内側縁というところに止まります)。

外腹斜筋

たとえば、外腹斜筋が弱いと前鋸筋にも影響が出て、その影響は肩関節まで起きたりするのです。前鋸筋の作用として、前鋸筋が縮まると肩甲骨が前方に引き出されます。

前鋸筋 作用

逆に前鋸筋がリラックスすると、肩甲骨は背部中心に引き寄せられて、胸が開きます。

前鋸筋と外腹斜筋は同じ筋肉の走行を示し、前鋸筋の作用を利用して外腹斜筋にアプローチすることができる!

トランクカール

腹筋種目、トランクカールを用いて、前鋸筋と外腹斜筋の関係を調べた研究があります。研究では トランクカール時に前鋸筋を強く収縮、つまり前鋸筋を使った状態にすることで、腹直筋の活動する量はそのままですが、外腹斜筋の活動する量が増えたという結果が出ていました。前鋸筋の作用である肩甲骨を前方に出した状態、つまり前鋸筋を使った状態でのトランクカール①と、肩甲骨を前方に出さない状態でのトランクカール②では、前鋸筋、外腹斜筋どちらの活動も①の方がより活動していたのです。(腹直筋についてはどちらも差はみられませんでした) そう、前鋸筋の活動が外腹斜筋の活動を高める1つの方法なのです

逆三角形体型、くびれたウエストづくりに脇腹の筋肉エクササイズは欠かせませんが、 そういった上でも大事なポイントでぜひ取り入れていきたいものです。

以下のエクササイズ動画も上記のことを応用したものになります。参考にされてみてください。

活動する量が増えるということは、その部位が表層にあればあるほど意識もしやすくなります。腹筋は大きく分けると、4つ(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)。その腹筋1つ1つと向き合えたら最高です。

自分にとって、会話したい、お近づきになりたい好きな方がいたら、いろいろな手段を用いてお近づきになる方法を考えることでしょう。今回は外腹斜筋とたくさんお話しするために、前鋸筋に手伝ってもらうということですね。腹筋下部とたくさん会話するために、腹横筋に手伝ってもらう、腹横筋と会話するために、呼吸に手伝ってもらう、、、etc。腹筋の特徴をいかせば可能性は広がるばかり。それが自身の腹筋トレーニング法でもあるのですが、トレーニングを担当させていただいている方には、その対話のお手伝いは僕がさせていただきます。だいぶ脱線しましたが…さあ今日も腹筋全部位との対話を目標に、お腹まわりをトレーニングしていきましょう。きっと答えてくれたとき、会話ができたとき、お腹まわりは何かしら変わっているはずです。

参考文献:

前鋸筋の活動が外腹斜筋の活動に及ぼす影響
荒山宏樹1),岡田 隆2・3),矢崎高明1)
1)東京北社会保険病院リハビリテーション室,2)東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系,3)(株)Best Physical-Providers