腹筋種目「ドラゴンフラッグ」は効果ない!?

腹筋種目「ドラゴンフラッグ」は効果ない!?

他のコラムでも書きましたが、ドラゴンフラッグとは、運動軸を頭側として、そこのみをベンチ(または床に接地させ)、それ以外の体は、ほぼ一直線に固定させたまま、足をベンチすれすれのところ(または床スレスレのところ)まで下ろし、そして、床に対して体が垂直になるところまで戻す。この動作を繰り返すことにより、お腹まわり全体に刺激を与えていく腹筋種目です。

ドラゴンフラッグ
接地面は肩部、頭部のみ、床すれすれまで、足を下ろしていく一見、腹筋への刺激はすごそうに見えるが、、、。

今回はドラゴンフラッグの画像を、いくつか載せて、ドラゴンフラッグの効果についてみていきたいと思います。

ドラゴンフラッグは、ブルース・リーがトレーニングに取り入れていたり、映画ロッキーの作中でもみられたことから、名前は知らなかったがみたことはあるという方も多いのではないでしょうか。

パッと見、腹筋のトレーニングとは思えないくらい、ドラゴンフラッグは派手で、印象に残ります。実際にドラゴンフラッグで鍛えられる部位は腹筋のみにとどまらず、広背筋 、上腕三頭筋、大腿部の筋肉という体の背面、腕、脚など幅広い範囲にわたっています。

ドラゴンフラッグは頭、上半身の上部のみをベンチ、または床に接地させ、動作を行っていきます。頭部、上半身で体重を支持し、支点となる部分のトルクが大きくなるため、二の腕の上腕三頭筋への関与も大きくなるのも当然ですが、ある程度腕への刺激を回避することは可能です。特に、ドラゴンフラッグの姿勢を維持する、つまり、重心のコントロールを上手に行うことにより、腕よりも、体幹、股関節のコントロールが必要とされて、腹直筋、外腹斜筋、腿の筋肉といった筋肉の活動を高めることができます。姿勢の維持には腹横筋、内腹斜筋も関わっているので、上手にドラゴンフラッグを行えば、それらの筋肉の活動量も増やすことができると思われます。

ドラゴンフラッグで腰を反る、効果は?

腹筋は直立した姿勢では、骨盤を体に対して安定させ、また、歩いたり、走ったりするときにも体が揺れすぎないように支えるための強力な筋肉となりますが、ドラゴンフラッグ時もこのような役割をなしており、腹筋がフル活動しています。

やみくもに反動や腰を反るなどを使ったドラゴンフラッグは、お腹への刺激が逃げてしまうばかりではなく、脊柱を痛める要因となりうるかねませんのでおすすめはできません。ただし、このような腰を反らすような力に抗する手段もあります。それは腹筋を使うことです。お腹周りの腹圧や剛性を高めることにより、腰への負担を大幅に軽減することができます。トップ写真では一見、体を反っているようには見えますが、腰部分に着目すると胸部分からお尻にかけてほぼ真っすぐを維持しています。このような姿勢であれば、お腹の力が抜けて崩れない限り、腰を守りながらトレーニングすることができることでしょう。

上記のようなお腹の使い方はブレーシングになります。ブレーシングによりお腹全体の活動量はあがり、腹圧やお腹周りの剛性を高めることができます。空のペットボトルに空気を一杯に入れて蓋をしたような状態をイメージしていただければと思います。いきなりドラゴンフラッグのような強度の高い種目で行うのではなく、呼吸エクササイズやシンプルな体幹トレーニングでブレーシングを確認してから行うといいでしょう。

体を折ってから体を起こしていくドラゴンフラッグ

ドラゴンフラッグを行う際の、もうひとつのコツとして、 脚を自分の方に引き寄せる股関節屈筋の動作になっていないかどうかです。これは、腹筋下部をエクササイズする上で注意するポイントにもなるのですが、腹直筋下部の役割はおしり(臀部)を持ち上げることであって、太ももを持ち上げることではありません。太ももを引寄せる筋肉は、股関節の屈筋(腸骨筋、大腰筋)です。太ももを持ち上げるような動作では脚が使われてしまうのです。

脚を持ち上げるような腹筋の筋トレ動作についてのポイントは「おしり(臀部)を持ち上げようとすることであって、もも(大腿)を持ち上げることではない」というのを確認した上で以下の写真をみていきましょう。写真では太ももの付け根で折れ曲がっています。

ドラゴンフラッグ風
これでは腹筋下部への刺激は逃げてしまいます。

ドラゴンフラッグでは、足を床、またはベンチに下ろしていった後、体を垂直になるところまで戻していきますが、一直線のまま戻していくからこそ腹筋に刺激がいき続けるのです。

ドラゴンフラッグ 腰足まで一直線で行いたい

ドラゴンフラッグ 体を一直線に

ドラゴンフラッグを行う上で腹筋にしっかり刺激を与えるには、一直線に下ろし一直線に上げるに尽きます。見た目的には、腰を反ったり、膝を垂らした方がインパクトは強いですが、腹筋主体で刺激を与えていくならば、腰を反って背面や脚の筋肉を使うのではなく、膝を垂らしトルクを短くするのでもなく、脚を体に引き寄せるような股関節主体の動きもせず、ひたすら体を一直線に下ろしていき、ひたすら一直線に上げていった方がずっと効果的です。